もしもの時「延命治療をしますか?」
家族が救急医療や入院中、容体の悪化があった時や予断を許さない状況の時に、医者から聞かれる「延命治療をしますか?」という質問。また、自分が倒れてしまった時、家族にどうして欲しいか、あなたは考えていますか?
心肺蘇生と延命処置
大切な人には1秒でも長く一緒にいたいし、生きていてほしい。当然のことだと思います。救急隊がやってくると、状況に応じて、「心肺蘇生」と「延命治療」が開始されます。ではどういうものか確認していきましょう。
延命治療とは
延命治療は、回復の見込みがなく死期の迫った患者に点滴で栄養補給をしたり、機械(人工呼吸器など)を装着して心臓や呼吸の動きを維持する処置のことです。
(引用:草加八潮消防より)
救命処置とは
救命処置は、救急隊が病院へ搬送 するまでの間におこなう、心肺蘇生を含む処置のことです。 病院に到着すると医師の判断で処置を中止したり、さらに高度な処置へと変わります。 (引用:草加八潮消防)
救命救急の現場
救急隊がその場でできる心肺蘇生と延命治療とは違い、病院の救命救急の現場では高度な処置が行われるのと同時に、処置の壮絶さも見えてきます。
救命処置の壮絶さ
- 心臓マッサージで強い力で胸骨を圧迫するため、骨がバキバキと音を立てて折れてしまう(特に高齢の方の場合は骨ももろくなっており、若い人以上にダメージが大きい)
- 心臓マッサージで折れた骨が肺に刺さって出血する場合がある
- 血圧を上昇させるための点滴の大量投与により、元の顔がわからないぐらいむくむ場合がある
病院に行けば、「専門医にみてもらえるから安心!」という思いがある一般人からすると、かなりショッキングな内容ですよね。学校や交通安全教室で習う、心臓マッサージからは想像もできないですよね。
延命治療のリスク
- 人工呼吸器を一度装着したら、自発呼吸が見られるなど回復の兆候が見えない限り、外すことはできない
- 心肺蘇生までの時間がかかった場合などは、重い障害が残り、寝たきりになるリスクもある(意識がないまま何年、何十年と延命され続けるケースも少なくない)
延命治療の種類は3種類。人工呼吸、人工栄養、人工透析があります。延命治療をすることによって、就活を行う猶予ができ、財産や所有物の処分、相続などに時間をかけることが可能になるというメリットもあります。
延命治療といっても、特に人工透析は、軽度の場合は通院の負担はありますが割と自由に過ごされている印象が強いですね。事故や急病の場合に、人工呼吸、人工栄養の延命治療をおこなっても、自発呼吸ができるように回復する場合も、栄養も自分でとれるようになるまで回復する場合もゼロではないと思います。
どうしても、リスクやデメリットも同時に発生します。もしもの時に、傷病者自身が都度決定できれば良いのですが、意識がなくご家族に判断を委ねられる場合があります。なので、一度、ご家族で方針を話し合っておくと良いかもしれませんね。
心肺蘇生や延命処置を望まない場合
近年では、心肺蘇生や延命治療を望まない場合に傷病者の希望に合わせた最後が迎えられるように対応が変わりつつあります。自治体によって多少オペレーションが違うようなので、詳細はお住まいの自治体の消防局で確認してください。
自宅での看取りを望む場合はかかりつけ医に相談を
在宅治療で延命治療などは行わず、自然に死を迎えたいと思う場合は、かかりつけ医に相談しておきましょう。もしもの場合は、救急に連絡するのではなく、かかりつけ医に連絡しましょう。
かかりつけ医に相談していたものの救急車を呼んだ場合
救急隊員の方が到着後、傷病者が心肺蘇生と延命処置を望んでいない場合はその旨を伝えましょう。傷病者本人とかかりつけ医が「心肺蘇生の実施を望まない」ことを救急隊員が確認したら心肺蘇生を中断し「かかりつけ医等」又は「家族等」に傷病者に引き継ぎが行われます。
かかりつけ医がいなれば、2次医療機関(入院治療を必要とする重症患者の医療を担当する医療機関)へ搬送されます。
体験談を交えてまとめ
筆者自身も、祖母が突然倒れた時に「延命治療をしますか?」と医療機関で聞かれました。
救急隊のおかげで、一命は取り留めたものの、心肺停止の時間が長かったことから、脳への酸素供給が止まっている時間も長くなってしまい脳波が確認できない状態と説明されました。次に心臓が止まった場合、回復したとしても、目覚める可能性が低いことを告げられました。
すでに、救急搬送の時に打ってもらったら注射などで顔はむくみ倒れる前の面影はありませんでした。食べることが大好きで、笑顔が可愛い祖母。また一緒に過ごしたい。そんな思いでいっぱいでした。
結果的に、親族会議の結果、延命治療をしないことを選択しました。
その後、心臓が再び停止してしまいましたが、親族みんなで看取ることができました。
祖母が、生前に延命治療を望むかどうかを聞いていたとしても、「これでよかったのか?」という思いが出てくるかもしれません。
ですが、医療機関に到着後に、状況によって「次に心肺停止した場合、心肺蘇生や延命処置をするか?」と聞かれるので、もしものときに家族がどのような判断をしたらいいか事前に話し合っておくことをおすすめします。
引用
PRESIDENT Online:バキバキと骨が折れても心臓マッサージは続く…救急科の看護師が目を背けたくなった「延命治療」の壮絶さ
https://president.jp/articles/-/59928?page=1
草加八潮消防
https://soka-yashio119.jp/information/documents/kyuukyuukatudou.pdf
東京消防庁「心肺蘇生を望まない傷病者への対応について」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/acp.html
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